2014年08月27日

短頭種気道症候群

 夏真っ盛りの8月初頭のある日、パグのボスちゃん(13才♂)が来院されました。来院当初から呼吸音が著明で苦しそうな呼吸をしていました。詳しくお話を聞くと、以前からガーガーと荒い呼吸音をしていたそうですが、一昨日より急にひどくなり、昨晩は寝ころがる事ができずに、一晩中寝たり立ったりを繰り返していたとの事でした。その後各種検査を行った所、体温39.6℃、血液検査は軽度白血球上昇のみ、生化学検査異常なし、レントゲン検査では軽度心肥大は見られるが肺気管支は問題なしとの結果が出ました。以上のことから軽度熱中症の疑いと、それに伴う上部気道狭窄の悪化と仮診断し治療開始しました。
 短頭腫(フレンチブル、パグ、シーズーなど)の犬では、先天的に口腔の一番奥にある軟口蓋という組織が、他の犬種に比べて鼻が低い分、よりノドに近い傾向があります。軟口蓋が気道を覆うことで気道が狭窄し特徴的な呼吸音がしたり、イビキを掻いたりします。重症例は運動を嫌がったり、運動中に酸欠を起こし失神したりするため、通常、子犬の時期に発見され、そのようなワンちゃんは、外科手術で軟口蓋の一部を切除し空気の通りを良くする必要があります。また日常的に、安静時も呼吸音が大きいあるいはイビキが大きいというワンちゃんも、今回のように加齢変化や熱発炎症などによって急性に症状の悪化が見られることもありますので注意が必要です。
 ボスちゃんは、年齢のことも考慮してオーナーと相談の上、外科手術は選択せずに抗生物質、消炎剤、鎮咳薬、去痰剤などで内科治療を行うことにしました。現在、食欲はまだ不安定ですが、呼吸はずいぶん落ち着いてきており、夜もグッスリ寝ているとのことで投薬にて経過観察中です。
posted by SAYU at 16:52| 北海道 ☔| Comment(0) | ある日の診察 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年06月20日

チーズちゃん

 先日、Mダックスのチーズちゃん(11才8ヶ月、♀)が数日前から食欲がないと来院されました。飼主さんによると「夏場になると食欲がなくなることがよくあるので、今回もそうかも知れないが少し変だ。」との事でした。詳しく検査してみると、貧血(PCV22.6%)、著しい白血球増加、腎不全(BUN87、CREA4.8)、軽度黄疸を起こしており、エコー検査により子宮蓄膿症であることが判明しました。
 子宮蓄膿には細菌感染が子宮内部に起こり外陰部から膿が漏出するタイプと、子宮の入り口にある子宮頚管が固く閉じて子宮内部にどんどん膿が溜まるタイプとがあります。前者の場合では比較的早く飼主さんも異変に気づくのですが、後者の場合、暫くはチーズちゃんのようになんとなく元気食欲がない、お水をたくさん飲む程度の症状しかないため病状が進行してから来院されるケースが少なくありません。
 今回チーズちゃんのケースでは腎不全を併発しており、麻酔リスクは高いですが内科治療の時間的余裕はないと考え、飼主さんのご了承の上で、その日のうちに卵巣子宮摘出手術を行いました。正常のMダックスの子宮は左右ともにエンピツの太さ程度なのですが、チーズちゃんの摘出子宮は左右とも500mlのペットボトル程の太さになっていました。もし来院されるのがもう数日後で腹膜炎でも起こしていたらと考えるとゾッとしました。
 術後、3日後には食欲が出始め、5日後には入院後はじめてワンワンとほえるなど日に日に元気になっていきました。まだ貧血と高窒素症はありましたが、あとは通院で経過観察することとし、飼主さん家族と共にうれしそうに退院して行きました。
posted by SAYU at 15:50| 北海道 ☔| Comment(0) | ある日の診察 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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